※ 事後SS ※
※ R16くらい ※
※ しかし、所詮、雰囲気エロス ※
「・・・のど・・・、かわいた・・・」
掠れた声で、腕の中の南北が呟いた
「・・・ん?」
半ば眠りに落ちていた東西は、言葉の意味を捉えられず、少し間の抜けた声を漏らす
「みず、のんでくる・・・」
ちょっと離してと、腕を撫でられ、求められるままに絡めた腕を緩めると、南北はスルリとベッドから抜け出した
ヨタヨタと歩く後ろ姿を見送り、東西は再びまどろみの中へ戻ろうとしたが、直後にバタンっと少し大きな音が響き、意識は表層へ引きずり出される
「南北っ?!」
彼の行った先を見ると、案の定、フローリングに座り込んでしまっていた
「お、おいっ! 大丈夫か?!」
慌ててベッドから飛び降り、南北の元へ駆け寄ると、彼はいつものようにヘラリと笑った
「膝に力入んないよ」
普段、日光に当たらない白い足は宵闇から浮き立ち、か細い震えさえ見てとれた
「おま・・・、服着ろよ・・・」
ズボンも下着もなく、上にシャツを一枚羽織っただけのあられもない姿に思わず目元を覆う
「ベタベタして気持ち悪い」
「じゃあ、風呂入れ」
「それより眠い」
「じゃあ、寝ろ」
「喉渇いた」
あぁ、そう言えばそうだった・・・と、東西は南北の前に膝をつく
「平気か? ぶつけたところは?」
「ないよ、大丈夫」
「そっか」
身体を寄せると、当然のように南北の腕が東西の肩に絡まる
東西も南北の腰に腕を回し、支えるようにして抱き起した
「ぅんっ」
「南北?」
震える膝で立った瞬間、小さな悲鳴が漏れ、南北の顔にサッと赤みの差した
「どうかしたか?」
普段、動じることなどほとんどない南北の珍しい表情に、抱き合った姿勢のまま、東西が首をかしげる
「・・・やっぱり、先にシャワー浴びる・・・。お風呂場連れてって・・・」
「いいけどよ・・・? 急にどうした?」
「・・・しろ・・・」
「は?」
「後ろ・・・が・・・っ」
分かれ馬鹿と言わんばかりに赤い顔で睨まれ、何気なく視線を彼の腿へと落とすと・・・、
東西は一瞬で、南北の何倍も顔を赤くした
「わ・・・っ、悪いっ! 今日はちょっと久しぶりだったし、ついっ!!」
「言い訳はいいから、早く風呂場に連れてけっ!」
細いとはいえ、自分より身長の高い南北を抱きあげることはできず、腰を支えた状態で二人で風呂場へ向かう
「ばーか、ばーか、東西のばーか・・・」
「あーあー、すみませんねぇー」
お互い、赤い頬で顔も見られない
けれど、フローリングに落ちた二人の影は、
まるでワルツを踊るような形で交わっていた